自分がどう感じたかよりも。
聞いた相手に、喜怒哀楽などの感情を持たせることを大切にする。
それがバッハの音楽だ。
という話を、最近どこかで聞きました。
自分がそう習ったわけではないのですが
なるほど、確かに、そうかもしれないなあと思いました。
感情的によりも、客観的に。
でも、それはバッハだけじゃない気もしています。
最近、家庭の事情から
今まで感じたことのない感情に、ひたすら揺り動かされまくっておりまして…
先の日曜日に、急きょ入った合唱伴奏本番がありました。
もう無理だ、弾けない。
と、何度も思いました。
難しい技術は何もいらないはずなのに。
感情が邪魔をして、涙が止まらなくなって、全くピアノが弾けない。
こんなことは、生まれて初めてでした。
合唱伴奏なので、歌詞に感情移入しすぎてしまう。
心のバランスが取れない。
私はずっと、自分の感情を切り貼りして弾いていたのか?
そんな思いで、本番前なのにちっとも練習が進まない。
そんな本番前日に、先輩先生のコンサートへがありました。
骨折で暇になっている我が子を連れて、行ってきました。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番のピアノ連弾がありました。
とても大好きな曲。
第1楽章の前奏。
プリモとセカンドの和音が重なった瞬間。
涙がぶわっと出てきました。
この音だ。
こういう音を、聴きたかった。
こういう音を、私も弾きたい。
やっとそういう感情になれた。
それで、やっと自分の本番も乗り切れました。
合唱本番。
自分のソロ部分は下手くその極みでしたが…
でもいいや。
私が上手いか下手かなんて、どうでもいい。
とにかく、歌が、聞いている人たちに無事に届くように。
伴奏者としての矜持だけで弾いてきました。
この曲は、すごく素敵なんです。
みんなできれいなハーモニーを作ったんです!!
どうか聞いて下さい!
そんな気持ちに、やっと、なれました。
本番前日にピアノコンサートがあったという幸運。
素晴らしい演奏をしてくださった先輩先生には感謝しかない。
先輩先生に感想を伝えると
「自分が楽しかっただけ!」
という、何とも気持ちのいい返信がありました。
かっこいい。
聞けて良かったなあ。
ご縁に感謝するばかりです。