教室YouTubeを始めた頃は
コロナ禍の一斉休校時でした。
自分に出来ることを、少しでも。
という思いで始めました。
今は、YouTubeで練習することに、
弊害を感じています。
楽譜を見ずに、
手元ばかり見ている子が増えたな。
音を全く聞いてないなあ。
リズム感が育たないなあ。
というのが、最近強く感じることです。
おそらく原因は
「休符を、意識できない」
のだろうと思います。
動画で見ていても、休符の存在に気づくことは無理だろうなあ。と思います。
ピアニストのユーチューバーさんたち、
速弾き!和音連打!隙あらばグリッサンド!
というのが、ほとんどですし。
即興的にああいう演奏出来るのはすごいんですけど
学習の面からいくと…
危険です。
やはり楽譜を見ないことには、休符は分からないと思います。
先日、アカデミー賞関連で、人種差別のトピックスを見ましたが
「差別以前の問題だ。
透明な存在で、認識さえされていない」
という論調をよく目にしました。
昔から
「好きの反対は嫌いではなく無関心」
という言葉を、よく耳にしましたが。
無意識の、自覚のない、差別がある。
自分の悪意にさえ、気づかないような。
あれは、自分にとって、無価値なものだ。
という潜在意識の何と恐ろしいことか、と思います。
スマホの時代になって、いろんなものが可視化されたような気になりますが
透明化=存在が消滅
されていくものも、たくさんあります。
伝統的なもの、文化的なもの、ある種の精神性。悪意や善意の感情…。
その透明化されていくものの中のひとつに
『休符』
があるような気がします。
休符って、自覚は無理なんです。
音の鳴るところばかり、注目されてしまうので。
以下、いろんな休符対策。
①リズム体験
コロナ禍以前は、休符のときにタンブリンやカスタネットを叩くなど、リズム体験をしていました。
コロナ禍1年目、鉛筆も何でも、触ったら消毒しないとダメ!みたいな風潮だったもので。
小物楽器を完全に使わなくなってしまいました。
今思えば、接触感染を誤解してますよね…
手からウイルスを発生してるわけでもないのにねー。
マスクしてたら、飛沫を防げるから付着するわけもないし。
小物楽器たち、出してこなきゃ。
②演技で感じる
小さい子には、休符のときは過剰演技をすることにしてます。
手を高くあげるとか、手をぐるぐるさせるとか。
「やりすぎ!」
ってくらいにやると、休符に対してインパクトを残します。
ただし、やりすぎると、リズムがおかしくなるし、子どもは調子に乗りやすいので(^◇^;)
多用は禁物ですが…
③とにかく説明
休符が何故必要か、というのを高校生の生徒に話していると
「そうかー、休符があると、他の音が目立てるんや!」
と、すごく納得してくれました。
誰かを立てるために、自分が引っ込む。
というのは、高校生くらいになると理解が容易になるんだなあ〜と、感心しました。
なかなか、自我だいばくはつ、な小学生には難しいですが。。。
④ルールの大切さ
何にでもルールはあります。
なぜ、ルールは存在するのか?
より快適に過ごすため、です。
なぜ、サッカーは手を使ってはダメなのか?
なぜ、野球はバットが必要なのか?
なぜ、水泳は水着を着るのか?
スポーツにおいては、制限があると、その競技はもっと楽しくなります。
音楽も、同じだと思います。
なんでも、自由にしすぎると、混沌とします。カオス。
まあ、面倒臭い理屈はいくらでも言えますが…
⑤過去を振り返る
『休符を無視する』
というのは
レッスンにおいては昔からある現象です。
その度に
「休符も、音楽の大事な一部だよ」
と口酸っぱく繰り返してきました。
10年前のスマホがない時代の子どもたちなら、
どんな子でも↑この一言で
「はっ、そうか」
となってくれたのですが
今の子は、本当に、ピンと来てないようです。
「休符?何それ?必要なの?」
⑥作曲すると分かる
昔、音楽教室の教材に、
『こどもに作曲させて(音符をノートに書かせて)自分で演奏させる』
というものがありました。
男子生徒など、おふざけ好きな生徒たちは
「よっしゃあ、楽をするぜ!」
と、休符で埋め尽くしていました。
が、いざ演奏しようとすると
「あれっ、休符を演奏するって、難しくね?!」
と、みんな一様に困っていました。
楽をしようとしたら、痛い目を見る、という。
おもしろいことに、どんな生徒も自然に
「休符を入れなきゃ」
と言ってました。
もう、あの子たちも成人してるでしょうが…
あれ、優れた教材だったなあ…
今度、レッスンでやろう。
⑦聴いて学ぶ
オーケストラ音楽を聞けば、休符の意味はすぐに理解出来ると思います。
休符がないと、成立しない世界を体験できます。
やはり、いろいろ聴くのが1番です。
ただ、まあ…
ショート動画に慣れた現代っ子達には、交響楽とかはキツイかなー。
今のヒット曲、どれも3分…
⑧YouTubeの使い方を考える
とりあえず、言いたいことは
音楽学習にYouTubeだけ使用するのは、
危険だと思います。
自分で考える力を、育てることができません。
見るな、とは言いません。
どんな曲かな?と、知ることや
わからないところだけ使用するとか
使用制限をかけることで
上手く付き合ってほしいなあと思います。